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当スタジオについて

文：風見 光軌


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皆さん、はじめまして。風見と申します。

これまで椎名さんの活動で裏方を務めてきました。

この度、椎名さんと共にオンラインスタジオを立ち上げ、代表を務めることになりました。

何卒よろしくお願い申し上げます。



私たちのスタジオは、マーケットプレイスであり、メディアです。

作り手に出展の場を提供し、靴に関する記事やウェブブックを公開しています。


革靴業界は、伸びる余地の大きい産業であり、成長産業です。

私たちは、より優れた靴を履こうとする人、より優れた靴を作ろうとする人、より優れた靴を売ろうとする人を増やします。

高級靴市場の成長に貢献し、履き手や作り手の方だけでなく、売り手の方、ブランド運営者の方、全ての方々に寄与したいと考えています。


ぜひ、下記ページより、私たちのスタジオへお越しください。


靴.art



このオークションページにおいて、質問欄でのやりとりは椎名が担当し、取引ナビでのやりとりは風見が担当いたします。

また、風見の個人アカウントを公開します。

このアカウントでは、出展や記事の更新情報の通知、プレゼント企画等を行う予定です。

下記ページからご登録をお願いします。


bit.ly/KK-LINE




代表：風見 光軌 顧問：椎名 亘






■ 出展について



しばらくの間、当スタジオは、ギルド系アトリエに出展の場を提供します。

この出展の経緯・目的・計画につきましては、下記ページをご覧下さい。


bit.ly/ギルド系アトリエの出展



当初は、スタジオ運営陣が出展者を選考しますが、いずれは皆で出展者を選考しようと考えています。

作り手の方からの選考応募も受け付けますので、ご興味のある方は下記ページをご覧下さい。


bit.ly/出展について







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出展品の説明

文：椎名 亘 編訳：風見 光軌


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出展者 ／ Gillesberger

企画・制作 ／ G.Gillesberger

素材 ／ Gillesberger Box Calf

※ 組織名、個人名を区別するため、個人名はラストネームにイニシャルを付けて表記しています。



これから、当スタジオは、ギレスベルガー派、クラネルト派のギルド系アトリエをフォローしていく。

この作品には、オリジナルのボックスカーフ、ダブルウェルト、ブロンベルグ製法といった仕様が盛り込まれており、ギレスベルガー派作品の典型と言える。



ジェラルド・ギレスベルガー氏は、キャリア初期、英国で最高峰とされる注文靴店からヘッドハンティングされた。

彼はこの店でトップに上り詰めたが、自身が理想とする靴作りを目指して退社・独立した。


彼は、英国の注文靴店で制作していた当時、顧客達の靴の扱い方に違和感を覚えた。

顧客達は、靴が傷ついたり、悪くなることを恐れるあまり、天気の良い日や、ここぞという機会にのみ、その注文靴を履いた。ガラスの靴のようにそれを扱った。


彼は、この状況に対して、真に最高峰の靴なら、いかなるシチュエーションでも積極的に履かれるべきだと考えた。

彼はやがて、高級靴に対してドレス（フォーマルな場への親和性）・タフネス（頑丈さ）・コンフォート（長時間の歩行における快適さ）の目的を三位一体に求める東欧靴観へ傾倒していった。

そして自身のブランドにおいて、独自のレザーや、ダブルウェルトとブロンベルグ製法（杭基礎製法）を組み合わせた独自の設計を開発した。


bit.ly/英国と東欧の靴観



ギレスベルガー派の靴は、アッパーレザーが厚く、特殊な膜（皮革ケアのための油分は浸透させつつ、汚れを浸透させないようにするための膜）を持つ。

さらに靴全体を雨や傷から保護するため、ダブルウェルトを採用する。


これらによって重量が増すが、その上でもコンフォートを確保すべく、約150本の杭によって底付けをする。

この杭は、体重に応じて目が詰まり、やがて足の形や歩き方に合わせた応力を返すようになる。

この製法は、ブロンベルグ製法と呼ばれ、建築における杭基礎の工法をヒントにしている。












■ データの保存について



ギルド系作品は、一般的な高級靴に比べて、資産価値が非常に高いものです。

そのため、ギルド系作品には、作品毎にID、個体毎にシリアルナンバーが付与され、IDやシリアルナンバーに紐づけて、作品や取引の詳細データが保存されています。

日本国内で流通するギルド系作品に関しては、当スタジオの知財担当者がこれらのデータの保存を請け負います。

そして、真贋鑑定等が必要になった場合に、これらのデータを利用します。






■ サイズ



UK7.5E


ご愛用中の靴（ブランドやモデル名、ラスト名等）と、そのサイズをご教示いただければ、この靴が合うかを推定いたします。

なお、回答は、あくまでも主観的な推定であること（外れることもあり得ます）をご了承下さい。


カルテ（下記ページ）にご記入いただいた場合は、その旨をお伝え下さい。


bit.ly/SizeKarte


この靴は、下記の靴に近いサイズ感です。ご参考にして下さい。


- オールデン（バリーラスト） US8-8.5

- ジョンロブ（7000ラスト） UK8-8.5

- エドワードグリーン（202ラスト） UK8-8.5

- パラブーツ（シャンボード） UK8-8.5

- JM ウエストン（598) 7.5D-8D







■ コンディション



準・新品 ／ 未着用品 （試着も含め、足入れは一度もありません。）

未着用品ですが、プレケアを施しているため、状態ランクを【未使用に近い】に設定しています。






■ プレケアの必要性・重要性



私たちは、より長く履けるものや、より美しくエイジングしていくものが高品質であると考えています。下記ページで述べた通りです。


bit.ly/BNB-3-2


より長く履くためには、より美しくエイジングさせるためには、保革ケアを徹底的に行うことが必要です。

ここでの保革ケアとは、一般的なシュークリームを塗ることではなく、革内部の繊維から古い油分や不純物を取り除き、適切な種類・配合の新しい油分を適量行き渡らせ、保水能力を適度に維持することです。この点については、下記ページで述べています。


bit.ly/BAA-3-1


靴を履き下ろす前は、革内部の繊維が成分（良い成分も悪い成分も）を最も吸収しやすい状態にあり、ここで何を与えるかが靴の将来を決めると言えます。

つまり、より長く履くためには、より美しくエイジングさせるためには、特に履きおろし前のケアが重要です。

以上の考えから、私たちは、新品の靴にも保革ケアを施します。


鞣しが終わってから、ある程度の時間が経過しているため、新品の靴の革は適切な油分量や保水能力を維持していません。

また、鞣しでは均一に（どこが靴のどの部位になるか考慮されず）成分が入るため、制作完了後の靴は、特定の部位において能力不足になっています。

履きおろし前の保革ケアによって、これらの不足をカバーします。






■ プレケアの内容



私たちは、保革ケア専用のアトリエを構えています。

ここで出展される靴にも、そこでプレケアを施しています。


アッパーレザーとソールレザーに精製水を浸し、適切な種類・配合の油分（適切な種類・配合は、レザー毎に、その鞣しで使われた材料から判断します）を揉み込みます。

その際、革内部の網状層の湿度を計測しながら、油分を浸透させます。（網状層の湿度をコントロールすることが極めて重要です。）


必要に応じて以上の工程を繰り返し、最後にシュークリームで仕上げます。







■ プレケアに伴う注意点、補足等



・コンディションについて



ケア剤の揉み込みを行うと、多少の傷や皺、ソール面の染料滲み等ができます。


傷や滲みは、大きく見積もっても「一度でも外で履けばできるもの」の範囲に収まります。

また、足入れは行っていないため、履き皺はありません。


しかしながら、靴に傷や皺があることを気にする方にはおすすめしません。

より長く履けるもの、より美しくエイジングするものをお求めの方にはおすすめします。




・ダウンタイムの期間



プレケアを施した直後は、レザーの質感はマットに、色味は濃く、色ムラは強くなります。

この質感・色味の変化は、約１カ月かけて落ち着きます。

※ ブラックでも色味の変化があります。


また、約１カ月のダウンタイム期間後は、プレケアを施す前に比べて、色の深み（ケアを施した直後ほどではありませんが、色味が濃く、色ムラが強くなります）、柔軟性、耐水性、クリームやワックス使用時のツヤ感等が向上しています。





・履きおろしについて



プレケアと同じく（プレケアの効果を最大限活かすためにも）適切なタイミングで履き下ろすことが極めて重要です。

履きおろしのベストタイミングは、プレケア完了後から約2-8日後です。

このタイミングに合わせて発送いたします。

なお、約１カ月のダウンタイム期間中は、30分程度の試着歩行を週1,2回行うのが良いです。




・各オークションページの写真について



プレケアの前と、プレケア→ダウンタイム期間後で、靴の見た目が大きく変わります。

そのため、入札を検討される方々には、プレケア→ダウンタイム期間後の完成形を見せるべきです。

そこで、以下のような方法をとります。



- 当スタジオには、各アトリエから、同仕様（ラスト、パターン、素材、色、ソール、その他の仕様）の作品が、複数サイズずつ届きます。

- その中の１つを、当スタジオが買い取り、アーカイブモデルとします。それ以外のものを、出展モデルとします。

- アーカイブモデルにプレケアを施して、ダウンタイム期間後、完成形を撮影します。

- そのアーカイブモデルの写真を、各出展モデルのオークションページに掲載します。

※ 通販サイトは、販売するものを個別で写真撮りせず、カタログ写真を掲載していますが、それと同様です。


- オークション開催中、出展モデルにプレケアを施します。

- オークション終了後、履きおろしのベストタイミングに合わせて、各出展モデルを発送します。



できれば、各出展モデルを個別で写真撮りしたいと考えました。

ただ、それと同時に「ダウンタイム期間後の完成形を見せる」「ベストタイミングで履きおろせるようにする」という２つの目的を果たすには【プレケア→ダウンタイム期間（約１カ月）→写真撮影→履きおろしのための再度のプレケア→ベストタイミングに合わせて発送】というプロセスを踏む必要があります。

このプロセスを踏むと日本国内でかかるコストが過大になって、無償でプレケアをすることが難しくなります。

そのため、アーカイブモデルの写真を掲載する方法がベストと判断しました。


なお、プレケアを有料オプションとし、各出展モデルを個別で写真撮りすることも考えられます。

今後、この方法に変更する可能性もありますので、ご了承下さい。




・アーカイブモデルの保存



皆さんが履く靴と同仕様の靴（アーカイブモデル）を保存することには大きな意義があります。


アーカイブモデルは、作品IDに紐づいた作品の詳細データを具現したものとして、皆さんが履く靴の資産価値を守る上で重要な役割を担います。

例えば、ある個体をアーカイブモデルと比較することで、その真贋鑑定が正確に行えます。


また、アーカイブモデルを、将来メディアで公開したり、アートギャラリーで展示することで、皆さんが履く靴の社会的な価値が高まります。

多くの場合、絵は、その版画やデジタルコピーが人々に見られているからこそ、その原画に大きな価値が生まれます。それと同様です。

皆さんが "原画" としての靴を日々愛用します。

私たちがその "版画" としてのアーカイブモデルを保存し、いずれ公開することで "原画" の価値を高めようと計画しています。


以上の目的で、当スタジオはアーカイブモデルを保存します。

もちろん、ただ持ち続けるのではなく、保革ケアを続けて「保存」します。






■ ご注意事項



・アニリン仕上げ（染料仕上げ）では、原皮の傷や皺が隠れません。顔料仕上げの革に慣れている方は、ご留意いただければと思います。


・取引がキャンセルになると、再度プレケアを行う必要があります。キャンセル防止のため、入札者様の過去のお取引状況によっては、入札の取り消しを行います。

・取り消しを行った場合、次点の入札者様が落札者になります。高値更新されても落札の可能性がある点をご了承の上、ご参加をお願いいたします。


・その他、お気になる点、お気づきの点、ご要望等ございましたら、ご遠慮なくお問い合わせ下さい。この出展に関係しないことでも歓迎いたします。

・少しでも皆さんのお役に立てるように、誠心誠意対応いたします。







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スタジオ公開にあたって

文：椎名 亘 編訳：風見 光軌


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皆さん、お久しぶりです。椎名です。

しばらく日本での活動を休止していましたが、この度、オンラインスタジオを公開しました。

今後、このスタジオで、皆さんの楽しみを増やせるように頑張ります。

よろしくお願いします。






ブランド立ち上げの断念



ビッグコミックの記事等では、ブランドを立ち上げる予定だと述べていた。

だが、ある人物の言葉をきっかけに方向転換した。







椎名は、世の中の流れとは無関係に、人気や知名度とは無関係に、履き手にとって価値のあるものを示そうとしている。

それを期待して、多くの履き手が椎名のページに集まる。



ブランドのオーナーになれば（つまり、売り手になれば）靴を売りたくなる。また、時には、靴を売らなければならないだろう。

すると、どれだけ "履き手にとって" という意識が強くても、「履き手にとってベストである」と100％で断言できるものを示せなくなる。

"履き手にとって" という意識に、わずかな濁りが生じるのだ。


皆の期待に応え続けるためには、椎名は履き手であるべきだ。

これまで通り、履き手のまま、履き手にとって価値のある靴を示すべきだ。


活動の本質は変えずに、活動を拡大するのが良い。

もっと色んなブランドを、もっと多くの人へ、もっと色んな方法で紹介するのが良い。







この言葉が胸に刺さり、私はブランドの立ち上げを断念した。

そして、オンラインスタジオを作ることにした。






風見君について



この言葉をくれた人物こそ、風見君である。


私は、皆がどんな靴を求めているかを考えていた。

風見君は、皆がどんな活動を求めているかをも考えていた。


私と彼は、これまでも活動を共にし、活動の中心には私がいた。

だが、彼の方が、われわれの活動をよく理解していた。


それなら、これからの活動、オンラインスタジオの活動の中心には彼がいるべきではないか。

このように考え、彼にオンラインスタジオの代表を任せることにした。



風見君は才能のある男だ。

もし、オンラインスタジオを訪問して「良いコンテンツだな」「良いデザインだな」と感じてくれたなら、それが彼の力だ。

彼は、全てのコンテンツの翻訳・編集をし、全てのページのウェブデザインをディレクションしている。


これからの私の役目は、彼の才能を活かすべく、彼に良い機会や良い材料を与えることだ。

そして、彼の至らぬ点をカバーすることだ。






闘病を経て



ここ数年の私は、過去に手に入れたものや、過去に考えたことを今世に残す意識で生きてきた。

そして、この意識のもと、コレクションを出品してきた。

私は、それを終活と捉えていた。

だが、私はこの終活をやめる。



日本での活動を休止している間に、闘病を経験した。

闘病の活力になったのは、オンラインスタジオの構想を実現したいという想いだ。

それは、過去の何かを今世に残す意識ではなく、新たな何かを今世に加える意識だ。

残りの人生は、この意識で生きようと思う。


幸いなことに、回復後は、頭も身体も極めて健康になった。10歳ほど、若返った気がする。

きっと、意識が変わったことで細胞が活性化しているのだ。



われわれのオンラインスタジオは、見てくれる皆さんがいるからこそ成立する。

そういった意味では、私は皆さんから生きる糧をもらい、皆さんのおかげで元気になり、皆さんに生かされているのだ。

このスタジオの活動を通じて、その恩を返すつもりだ。





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© 2022 風見 光軌 / 椎名 亘