イラン南西部の遊牧民により織られた絨毯です。前所有者様はカシュカイ族と説明されていましたが、近接した地域で生活するハムセ連合による物と思います。縦約156㎝、横約110㎝です。スッキリした長さのパイルで、この手のラグとしてはしっかりと詰まった織り目ながら経年により柔らかくこなれています。織られてから100年弱のセミアンティークで、ほぼ全て天然染料由来の色だろうとの事です。中央に黄色で囲まれたメダリオンが配置され、メダリオンの内部も周囲も色とりどりの花や鳥のような動物で埋め尽くした賑やかな絵柄です。いわゆるペルシャ絨毯とは違い、パッと見は左右対称ながら良く見ると絵柄も色も少しずつ異なり、織り手の女性の自由な感性を感じる物です。商業用ではなく、自家用に織られた物と思われます。上端のキリムエンド(平織りの部分)が極狭いのですが、フサの状態を見るとこれがオリジナルのようです。フサはやや不揃いになり一部で結び直されています。同部は構造的に弱いため、負荷をかけ過ぎないよう配慮が必要です。下端は少々ですがパイル織り部分が失われており、綺麗にかがられています。左右の端のかがり糸が擦り切れた部分が何箇所かありますが、こちらもオリジナルの状態を保たれています。全体的にこの年代としてはとても良い状態です。穴や修理の跡もありません。一枚目の写真は日干しした際に撮影しました。深い色に染め上げられたパイルが艶々とより鮮やかに見えます。しっかりした厚みはありますが柔らかな織地ですので、ダイニングテーブルの下など椅子を引くような場所は避けた方が長く楽しめるかと思います。また、下に滑り止めを敷くと絨毯への負荷を減らせます。クリーニング済みで購入しております。我が家では鑑賞のみで実用しておりません。次の所有者様が決まりましたら、しっかり水拭きし乾かしてから発送いたします。オールド キリムから始まり、トライバル ラグ・部族系絨毯と言われる毛織物にはまり、数か月前にオランダのディーラー様から譲り受けたものです。コレクション整理のための出品です。オールドキリムや絨毯がお好きな方、古い手工芸品に理解のある方にお譲りしたいと存じます。長い年月を経てきたなりの難がありますが、作成し使用してきた人々や歳月に思いを馳せつつ、現状のまま愛でて下さる方の購入をお待ちしております。